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2006年11月23日 (木)

デルヴォーとゆうれい話−ベルギー王立美術館展−

タイトルの展覧会を観たのはラウドパークの前の日のことなので既に1か月経ってしまった(遅いんだよ−笑−)。

16世紀〜20世紀のベルギー絵画セレクション。詳細はHP行ってみて下さい。東京のあとは長崎と大阪でやります。

http://event.yomiuri.co.jp/royal/

個人的に面白いと思ったのはジェームズ・アンソールのまったくタッチの違う2枚の絵(「黄金の拍車の戦い」と「燻製ニシンを奪い合う骸骨たち」←この骸骨がいいんです)。
ルイ・ガレの「芸術と自由」(衣装はみすぼらしいが表情が高貴な貧乏楽士の肖像)に描かれた地味な美青年もナイスでした。

(さてタイトルはほとんどこじつけなんだが)
今回のデルヴォーの出展作の1つ、「夜汽車」はとても怖い。
停車場の夜汽車と駅舎には灯がついていて、右手前に女の子の後ろ姿。なのに人の気配が感じられない。空には三日月しかないのに影が濃いのも妙。
山岸凉子の怪異談「タイムスリップ」に登場する、目的地に辿り着けずにいる道の途中で遭遇する無人の建物、それも古いバラックか飯場のような小屋−窓側廊下には灯がついているのに、道を尋ねようといくら声をかけても誰も出てこない−を連想してしまった。
ただそれだけ、なんですが(だからこじつけなんだってば)…現実にある風景を描いている(図録の解説によると実際デルヴォーは鉄道マニア的な側面があったらしい)のに、この世ならぬものを連想させるというのもただならぬ才と言えるかもしれない、と。

ただならぬ才といえば…(強引に話を転換させる)
山岸作品の短編のうち幽霊話・怪異談は非常にリアルで怖い。フィクション作品でも直接・間接の怪異体験を取り入れているので、そのリアルさは怖いのなんの、例えば夏の夜に一人で読みたくない、と言ってもいい。
でも私は実は全然ヘーキで夜中でも一人でも読めるんである。
理由は簡単、私は怪異体験、霊体験の類が殆どないからだ。
自分に無いから存在しない、あるいはその種の体験を勘違いだ幻だ幻覚だ、と断言するほど傲慢ではない。
たまたま私に‘この世ならぬもの’を見たり感じたりする能力が無い、またはそういうものと波長が合わないだけだと思っている。だからたとえ目の前に‘いた’としてもわからない。そして世の中そういう人の方が多数なのだ。
だから怪談なんてものも成立する。みんながみんな同じようにそういうものを見たり感じたりすることができるのなら、怖くないし面白くもないからね。

「あー、あそこの木の下に誰かぶらさがってるよー」
「そうだね。そういやこないだあそこで首吊りした人がいたってさ」
「へー、やっぱりねぇ。どうりであそこを通るたびに寒気がするはずだよ」
「うちに連れてって話聞いてやろうか」
「気が済んで成仏するかもしれないね」
「小さな親切大きなお世話だったりして(笑)」

…なんてことになったら全然怖くないです。
やっぱり今の世の中、暗い夜道で突然生きてる人間に合う方がコワい。
通り魔かストーカーか変質者かひったくりかもしれない!?!

美術展の話が怖い話に化けておしまーい。

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コメント

>サックスブル子様

初期の山岸作品はあまり読んでない(「アラベスク」も全編通読したことはない)んですが、短編はよく読みます。
怖い上に社会派な作品が多いですよね。それもうっかりすると墓穴を掘りそうなアブないテーマが多い…
あまりしたくない言い方だけどやっぱり女性じゃないとできない(しない)ような視点で掘り下げてるから、理屈抜きでリアリティ感じるのかもしれないっす。
男性が読んだら別の意味でゾッとするかもしれんですね(笑)

投稿: 如月 | 2006年11月30日 (木) 01:19

こんにちは!…あ、あれ?サッカーの話にコメントするつもりが
山岸先生の作品話に食い付いてしまった…(汗)。

実は、昨今の事件報道を見聞きしたりする時必ず思い出すのが山岸作品の数々なので。
ストーカーや虐待って言葉が全然一般的でない頃からそのテーマで鋭く深い描写で漫画をガンガン発表していたのは単純にすごいと思うし、自分が子供の親になってからは、前は救いの無い辛い作品…と思っていた物にも、どこかしら小さな希望めいたものがある様に感じたりと、読む時期読む状況で感想が変わって来るからまた面白いと思ったり。
はっ、便乗語り失礼しました~~(脱兎)

投稿: サックスブル子 | 2006年11月29日 (水) 13:33

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Hello,Again 2006/12/12「自分を映す鏡」  ……ポール・デルヴォーの「夜汽車」の少女は、いったい何を思うのでしょうか。  少女になったことはないので、とりあえず少年の話でも。  ずっと小さい頃、あ... [続きを読む]

受信: 2006年12月19日 (火) 00:13

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